GSX750S(S3) の純正キャブ(中古)を分解してみた。
先日、ヤフオクで入手した中古キャブのことをコチラで書きました。3番のスタータープランジャーが、ガッチリ固着していた分ですね。あれを分解しました。(今回のエントリは、時系列で分解の様子を追っていくものです。分解・組み立てが完成後に、改めて、まとめ記事等をあげる予定です)
以前にも登場した、古い家の梁の上にキャブを載せ、連結しているステー2本を外す作業から始めます。作業前に、依然として固着しているスタータープランジャーの蓋を開け、ヤマハのスーパーキャブレタークリーナーを噴射しておきます。
まずは、キャブの下部のステーから。基本的には、以前にコチラでご紹介した方法でネジを緩めていきます。1・2型のキャブよりも年式が新しいといっても、ここのネジは基本的に強いトルクで締め付けられているらしく、なかなか外れてくれません。2本のネジを外すだけでも、かなりの時間を要しました。(緑色の柄が見えているのは、ネジザウルスです)
30分ぐらいかかって、何とかステーが外れてくれました。
念のため、ネジザウルスのほか、ヒートガンも用意しましたが、今回の分解に関しては活躍の場はありませんでした。
次は、トップキャップ下のステーです。ネジの番手が小さくなります。
こっちは、ラスペネをネジ部分に浸透させただけで、難なく外れてくれました。これで、キャブの連結が解けます。
こういうものを分解する際は、この後の組み立てのことを考え、できるだけ多くの写真を撮っておくことをお勧めします。『そんなもの、あとからパーツリストやマニュアルで確かめればいいだろう』というヒトは、そもそも、この手の分解作業を自分で行ったことがないのかもしれません。当然ですが、(取り外しの際に無理に力を加えたりしているので)ステーを外した際のネジは再使用することはしません。
4つのキャブの連結を解いて、各々のスタータープランジャーを外します。
あれほどガッチリ固着していた3番のスタータープランジャーが外れました。連結を解いたあとにも、ヤマハのスーパーキャブレタークリーナーを吹きかけ、ラジオペンチで掴んで少し揺するったところ、「ポン」という感じで引き抜けました。最悪、例の「混ぜるな危険」も投入しようかと考えていましたが、思ったよりも簡単に処理できてよかったです。これでキャブをゴミにせずに済みました。コチラで点検した際にも、同じキャブレタークリーナーを噴射して今日まで放置していたので、その分の効果もあったと思います。
赤丸で囲んであるのが、固着していた3番のスタータープランジャーです。バネがどこかへ飛んで行きましたが、ストックがあるので心配ありません。
評判に違わず、ヤマハのスーパーキャブレタークリーナー(泡タイプ)は、今のところ、キャブレターの分解では最強のケミカルと言っていいと思います。これの浸け置きタイプ(原液)もあるということで、一度使ってみようかと思っています。
今回のキャブの分解で一番の難関(?)が突破できたので、(軍手を嵌めた手で車体を撫で回して)久しぶりにカタナの埃を落としました。
(少しブレてます。すみません)ダイヤフラムですが、年式相応というところでしょうか。
追記。
トップキャップ(蓋)を外す際に、バネが飛び出てきます。必ず蓋を片方の手で押さえて、ネジを外すようにします。(分解の経験のあるヒトなら常識なのですが、初めてやる場合はビックリするかもしれないので追記しておきます)
ダイヤフラム及びバキュームピストンは、新品・中古に限らず高価なので、丁寧に取り扱います。
ここから、さらにニードルを取り外します。
中を覗くと、ニードルなどの部品を固定するために、サークリップが嵌めてあります。ミクニのキャブは、これがあるので厄介です。
これも特殊工具の類になるんでしょうね。サークリップ専用のプライヤーです。バキュームピストンは深いので、ある程度の長さが必要です。
とりあえず1つ分解です。サークリップをプライヤーで掴む際に結構滑ります。
最終的には、専用プライヤーを2種類投入して、やっとバキュームピストンの分解が終わりました。(高年式のスズキ車が全てケイヒン製のキャブに切り替えられた理由が解るような気がします)
このままの状態で保管するのは、ダイヤフラムにあまり良くないです。
そこで、適当にダンボールの箱に十字の切れ込みを入れ、
こんな感じで入れて、キャブの組み立てまで保管しておきます。
バキュームピストンまでの分解が終わりました。
次は、フロート室を開けます。
古い燃料がガム状に固まっています。
スロージェットを覗いた感じでは、あまり酷くない感じです。
メインジェットとスロージェットを取り外すために専用工具を用意します。メインジェットの取り外しは、市販のジェットドライバーではサイズが合わないので、必ず舐めます。マイナスドライバーの先端がメインジェットの溝にぴったり合うように自分で加工したものを別途用意します。
メインジェットとスロージェットが外せました。穴のつまりは、また後で確認します。(ニードルジェットホルダーは固着しているらしく、このままにして次の作業に移ります)
フロートピンを外します。
こちら側から、ポンチなどで押して抜きます。
このようなバイスにキャブを斜めにセットし、上から下へポンチなどで押してフロートピンを抜きます。その際、フロートピンを支持している柱が折れないように、慎重に作業します。
割合にすんなり抜くことができました。(以前、1型や2型の純正キャブをばらした際には、こんなに簡単に抜くことはできなかった記憶があります)
追記。
ミクニのこのカタナ純正キャブ(BS32)を含め、おそらくは1100Sの純正キャブのフロートピンは、コチラで書いている通り、通常は容易には抜けない形状になっています。おそらくは前オーナーなどが過去のに一度分解した際に、フロートピンの片側の端(頭?)を削り取っているものと思われます。
フロートバルブを取り外します。
このフロートバルブも、その構造の故か、ガッチリ固着していることが多いです。この部分に限っての組み立てパーツ点数の多さなど、素人には理解に苦しむところです。(アセンブリーで1つのパーツに組んであると有難いのですが、今はどうなんでしょう?)
ここの部分は、キャブクリーナーを吹き込むと流れ出てきたので、特段問題はないと思います。
パイロットスクリューも緩めることが出来、固着はありませんでした。
あとは、ニードルジェットホルダーを残すのみですが、真鍮は少し力を加えると簡単に歪むので、もう少し時間がかかりそうです。(言う間でもないことですが、フロート室周りの分解に関しては、一連の同じ作業をあと3回繰り返すことになります)
組み立ては、年明け以降にメーカーが動くのを待って、それからさらにOリングなどの消耗部品を入手してからになると思います。