紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ

SLASH METAL⚡ GARAGE OFFICIAL BLOG

自分がしたこと本当に分かってる?

これから書くことは、あくまで事実を元にしたフィクションということでお読み頂ければ幸いです。

リアタイヤをパンクさせたカブを自走で若い男性が持ち込んできた。自宅からうちの店を遥かに飛び越え、最初に持ち込んだ店では体良く断られ、そこから再び自走でうちの店へ。その距離は5キロを下らない。案の定と言うべきか、中のチューブは絡み合い、一部はタイヤのビードとリムの間に挟まれ〝舌〟を出していた。

パンクに気がついていて、その空気の抜けたタイヤのバイクを自走で持ち込むのにも驚くが、そのまま送り出す店も店だ。たった数キロの距離とはいえ、万が一にも走行中にタイヤがホイールから外れれば、運転している人間はどうなる?普段は他人に無関心な俺だが、考えれば考えるほど、ムカムカと腹が立ってきた。

チューブタイヤの交換は、スクーターのようにタイヤチェンジャーが使えない。タイヤレバー2本を駆使して、手組みするしかない。店の外でタバコをのんびりとくゆらす男性に、タイヤレバーを当てるとリムの外周に貼った装飾のシールが剥がれることを断り、なんとかチューブを引きずり出した。四角く磨り減ったタイヤはもちろん交換するが、外側にも、素手で触って確かめた内側にも一切の突起物の類は認められなかった。走行中に絡みついて伸びてしまったチューブだが、当節はパンク修理の際にチューブにパッチなど貼らない。チューブそのものを即交換だ。ホイール自体に無謀な走行による歪みが出ていないことが不幸中の幸いだった。

『簡単に見えるだろう?今のバイクはチューブレスを履いているから、バイク店でも手組みをすることがほとんどない。組む時にチューブをタイヤレバーで噛んだら、それで全て終わりなんだよ。分かる?』

作業の様子を見ていた男性にそう言うと、『へえ…そうなんですか?』と店を訪れた当初と全く変わらず、屈託のない返事をした。事前の連絡もなしにいきなり来た人間の依頼を引き受け(それも他店に断られて仕方なくという事情をこちらが分かった上で)作業をしていることに何も感じていない様子だった。俺は腹が立つのを通り越し、だんだんと呆れ始めていた。

(続く?)

 

郵政カブのバルブタイミングを合わせる

動画の補足記事です。

youtu.be

 

f:id:ghost_pain:20180912154623p:plainピストンとシリンダーを組み込んだら、クランクを回して、あらかじめピストンの頭をシリンダーブロックの天辺まで持ってきておきます。カムチェーンは、エンジン内に落ちないよう、針金などで引っ掛けておきます。

f:id:ghost_pain:20180912155821p:plainこの際に、クランクケースの覗き穴からTマーク(=タイミングマーク)が見えていることを確認しておきます。

f:id:ghost_pain:20180912160135p:plain次に、シリンダーヘッドを被せます。(シリンダーヘッドのカムチェーンを通してある内側のボルト2本を忘れずに固定してください)f:id:ghost_pain:20180912160317p:plain再度、Tマークが覗き穴の縁の印に合っていることを確認します。

f:id:ghost_pain:20180912160241p:plainTマークの位置が確認できたら、カムスプロケにチェーンを掛けて、スプロケの中心に彫ってある線をシリンダーヘッドの天辺と平行になるよう合わせ、カムシャフトに固定します。*1 シリンダーヘッドを完全に固定、クランクを回してスムースにカムおよびカムチェーンが作動することを確認してください。これで、バルブタイミングの合わせは完了です。あとは、タペット調整をしてヘッドカバーを取り付ければ、エンジンの完成です。

 

エンジンの分解・組み立ての際には、最新の注意を払ってください。サービスマニュアルを用意することは必須です。*2 あくまで参考記事であるということをご承知おきください。

先日ツイートしましたように、バルブタイミングの合わせ方は、排気量の大小に関わらず、どのバイクでも理屈は同じと考えてください。CBR250RRも、(カムシャフトの数が一本増えただけで)基本的にはカブと同じやり方で合わせます。理屈が分かれば簡単とは言っても、失敗すればバルブは曲がりますし、下手をすれば腰上げオーバーホールということにもつながります。逆に、この部分さえクリアすれば、エンジンを自分で組み上げるということもハードルがずいぶんと下がるのではないかと考えます。

 

 

 

 

 

 

*1:カムスプロケの丸印が外になるようセットしてください。

*2:MD(=郵政カブ)のサービスマニュアルおよびパーツリストは、基本的にメンテナンスを受け持つ販売店にのみ配布が許されているものです。

水没して不動になったスクーターを修理してみた。

先日の西日本豪雨で、地元も被害を受けました。近所の道路のあちこちで冠水していたせいもあって、うちの店に下の画像のアドレスV50Gが修理依頼(=水没により走行不能)で入庫しました。

f:id:ghost_pain:20180710192345j:plain

うちの店に入庫してきたのが、7月8日。エンジンが始動できたのが10日でした。店に持ち込まれた当初はキックペダルが全く下りない状態でした。以下、始動に至るまでの作業をまとめました。

 

1.バッテリーのマイナスの結線を外す

不測の事態に至ることを防ぐため、まず電気を止めます。

2.マフラーを外す

もしかすると、フランジを緩めた段階でエンジンから水が出てくるかもしれません。マフラーは、エンジン側(=フランジ)を下にして、立てて乾かします。構造的には、逆さにして立てておくほうが水は抜けやすいということです。

3.エアクリーナーを外す

キックペダルが下りないこととは直接関係ないですが、点検はしておきます。案の定というべきか、水を吸ったエアクリーナーは、手で触るとネバネバとした糸を引きました。とりあえず洗油(=灯油)に付けて洗って乾かしておきます。

4.インジェクターを外す

エアクリーナーを外して、その次の経路ということと、シリンダー内の水を抜けやすくするために行います。(キャブレターだと構造的に厄介ですが)インジェクターの中自体に水は残ってませんでした。念のために、中にエアーを通して乾燥させておきます。コンプレッサーをお持ちでない方は、パソコンを掃除するエアー缶などで代用してください。

5.シリンダー内から水を抜く

まずエンジン内に溜まった水を抜かなければいけません。キックが下りないということで予想はしてましたが、スパークプラグは濡れていて、シリンダー内に水があることが分かります。オイルチェンジャーを使って、プラグホールとマニホールドから可能な限り水を抜きました。

 6.シリンダー内にエアーを通す

この後の工程でエンジンオイルを注入します。シリンダーとピストンの隙間で抵抗になっている水分をコンプレッサーのエアーで飛ばし、エンジンオイルがシリンダー内壁とピストンの隙間に浸透しやすいようにします。この作業も、先のエアー缶で代用できます。

7.キックスターターのケースを外して、エンジンオイルを注す

分解する前に、キックペダルと噛み合っている芯棒のスプラインの位置に油性ペンなどで印を付けておきます。キックペダルを外して、ケースも外して、中のギアにエンジンオイルを満遍なく塗布しておきます。水が残っている場合は、十分にエアで飛ばしてからオイルを塗布してください。オイルを塗布し終えたら、ケースを元に戻して、キックペダルを組み付けます。

8.エンジンオイルを入れ替える

エンジンオイルを抜くと、油と水が分離してユラユラと玉状のものが動いていました。抜いたままにしておくと、クランクのベアリングなどは、たちまち水分で錆びるので、すぐに新しいオイルに入れ替えます。

9.シリンダー内にエンジンオイルを注して、キックペダルを踏んでみる

プラグホールとマニホールドからエンジンオイルを注して、キックペダルを踏んでみます。これでキックペダルが下りればいいのですが、今回はガッチリ固まっていて、何度踏んでもダメでした。エンジンオイルを再度注して、この日は帰宅しました。一晩おくことでエンジンオイルが浸透してくれることを期待します。

10.ジェネレーターカバーを外して、クランキング。ようやくエンジン始動

翌朝の仕事開始時にキックペダルを踏んでみましたが、結果は昨日と変わりません。

ヘッドカバーは昨日の仕事終わりに外して帰宅したので、カムチェーンが露出しています。最後に残された方法を試してみることにしました。ジェネレーターカバーを外し、空冷ファン部分に両手をかけて、〝グッ〟と力を加えて回してみると、カムチェーンがゆっくり回り始めました。すると、排気ポート部分からボタボタと液体が滴り落ちてきます。途中で〝ゴリッ〟という圧縮の手応えがあり、これ以上、手で回すのは無理。ファンを外して、改めて工具をかけて回してみたところ、圧縮のところも乗り越え、ようやくクランキングすることができました。この日はこれで定時。オイル交換や車検にリコール処理など他の仕事もしながらなので、仕方がありません。

 

翌日。他の仕事を午前中に片付けて、午後から作業再開。シートとシート下のボックス以外の部品を仮に組み付け、バッテリーも弱っていたので交換。スパークプラグも新しくしました。まずは、セルで始動を確認。その後、キックでもエンジンをかけることが出来、入庫から3日目にして修理完了となりました。キックペダルを踏んでもあれだけ硬かったのに、いざ直ってみると、なんだか呆気ない感じがしますよね。

キックペダルが下りないという現象は、あくまでエンジン側の不具合で生じた結果の一つなので。終端のキックペダルから、一番遠い場所の張り付いたピストンを動かそうとしても、力が伝わりにくい。そこにばかりに拘っていても問題は解決しない。なんでもそうですが、一つの方法を試してダメであれば、次の方法を考える…ということですね。

そういう意味で、ジェネレーター側から直接的に力を加える(=手動によるクランキング)のは、原始的ですが有効な解決方法の一つではないかと考えます。もちろん、シリンダー内に塗布したエンジンオイルが、一晩置くことで十分に馴染んでくれたことも、良い結果に繋がった要因の一つです。エンジン載せ替えということになると、同年式の中古の車体が修理代金で購入出来たりします。お客さんの立場にしてみれば、天国と地獄ぐらいの差があるのでね。

 

 

 

消えたワッシャー

今の仕事に就く、ずっと前のこと。

 

玉虫色のゼファー750を新車で買って、しばらく走っているとフロントのディスクに引きずりができた。それも両側2枚とも。取り回しの際に微妙に擦れる音がするのも気になる。そろそろ慣らしも終わろうかという頃になっても、その引きずり跡は消えなかった。

決心してキャリパーを外すと、なぜかキャリパーボルト*1にワッシャーが一枚ずつ、計4枚噛ませてあった。オーナーならわかると思うが、たとえワッシャーが通してあったとしても、外からは見えない。取り外してみて初めてわかった。ディスクの引きずりは、そのワッシャーの厚みの分だけキャリパー本体がズレて偏りができた…そう考えるほうが自然だろう。

俺は、ワッシャーを一枚噛ませた状態でキャリパーをまた元に戻し、購入したバイク店へ連絡した。『フロントディスクにできた引きずり跡が消えない』と。ワッシャーが一枚噛んでいたことは伝えずに。

数日後。バイク店から『直った』との連絡があり、ゼファーが家に戻った。

『取り外して点検しましたが、全く問題ありませんこういうことは、よくあります。しばらく走っているうちに、この跡は消えていくと思います』

バイク店のメカニックが帰ってすぐ、俺はキャリパーを外して、例のキャリパーボルトを確認した。果たして、ワッシャーは4枚とも消えていた。あの部分に、純正部品としてのワッシャーなど存在しない。本来の姿に戻ったということだ。ディスクの引きずり跡は、バイク店が説明した通り、しばらくすると消えた。

後日。オイル交換で店を訪ねた際、あのワッシャーを事前に確認していたことを伝えた。予想はしていたが、メカニックの答えは『さあ…そんなものはなかったですね』というものだった。そもそも、あのワッシャー4枚が、どの段階で組まれたものか。カワサキの製造ラインで?それはまずないだろう。無い部品は組めない。あるとすれば、納車整備で組む際に入れた?いまだに謎だ。

 

 

 

*1:ブレーキキャリパーをフォークに固定するボルト。

フロート室のOリングを交換しただけでエンジン不動!?

ホンダのディオZX(2サイクル・AF35)の修理。

キャブのフロート室とキャブ本体の隙間から燃料が漏れていた。

バッテリーを充電し、エンジン始動はOK。

へたっていたフロート室のO(オー)リングを交換し、燃料の漏れは止まった。

キャブを組み付け後に再びセルを回したが、なぜかエンジンが始動しない。

『おかしいな。Oリングを交換しただけなのに。なぜだ?』

スパークプラグからは火花が出ていることも確認した。

キャブまで燃料も来ている。

『キャブをいじったことが原因なのは間違いない』

そこから紆余曲折、キャブレターを分解して念入りに点検しながら分解清掃。

やっと原因が判明した。

以下の図を見て頂きたい。

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ディオは、オートチョークからフロート室へ降りてきているパイプがキャブの燃料を赤い丸で囲んだ小さな穴から吸い込むことによりエンジン始動が可能となる。要するに、この真鍮で出来た小さな穴(=管?)が詰まると、エンジンの始動が出来ないということになる。結局のところ、エンジン不動の原因は、この小さな穴が詰まっていたことが原因だったことが分かった。だが疑問が一つ残る。

『でもOリング交換前はエンジン始動は出来ていたよね?』

そう、確かに出来ていた。理屈に合わない。

だが、これも不動の原因を調べている過程(=キャブのオーバーホール)で分かった。

エンジンが始動できていたのは、オートチョークのパイプが刺さっているフロート上部の大きな穴へ漏れ出た燃料が常時流れ込んだことによるものだった。

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本来燃料を吸い込むべき穴が塞がっていても、道理でエンジンがかかったわけだ。

ツイッターをご覧になっている方はご存知かと思うが)この車両に関しては、他にもハーネスの修理やら、途中でシートが開かなくなったりと…色々と勉強させてもらった。(以前にも言ったけど)いずれにしろ、キャブは完全分解しての洗浄が基本ということですね。