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郵政カブのバルブタイミングを合わせる

動画の補足記事です。

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f:id:ghost_pain:20180912154623p:plainピストンとシリンダーを組み込んだら、クランクを回して、あらかじめピストンの頭をシリンダーブロックの天辺まで持ってきておきます。カムチェーンは、エンジン内に落ちないよう、針金などで引っ掛けておきます。

f:id:ghost_pain:20180912155821p:plainこの際に、クランクケースの覗き穴からTマーク(=タイミングマーク)が見えていることを確認しておきます。

f:id:ghost_pain:20180912160135p:plain次に、シリンダーヘッドを被せます。(シリンダーヘッドのカムチェーンを通してある内側のボルト2本を忘れずに固定してください)f:id:ghost_pain:20180912160317p:plain再度、Tマークが覗き穴の縁の印に合っていることを確認します。

f:id:ghost_pain:20180912160241p:plainTマークの位置が確認できたら、カムスプロケにチェーンを掛けて、スプロケの中心に彫ってある線をシリンダーヘッドの天辺と平行になるよう合わせ、カムシャフトに固定します。*1 シリンダーヘッドを完全に固定、クランクを回してスムースにカムおよびカムチェーンが作動することを確認してください。これで、バルブタイミングの合わせは完了です。あとは、タペット調整をしてヘッドカバーを取り付ければ、エンジンの完成です。

 

エンジンの分解・組み立ての際には、最新の注意を払ってください。サービスマニュアルを用意することは必須です。*2 あくまで参考記事であるということをご承知おきください。

先日ツイートしましたように、バルブタイミングの合わせ方は、排気量の大小に関わらず、どのバイクでも理屈は同じと考えてください。CBR250RRも、(カムシャフトの数が一本増えただけで)基本的にはカブと同じやり方で合わせます。理屈が分かれば簡単とは言っても、失敗すればバルブは曲がりますし、下手をすれば腰上げオーバーホールということにもつながります。逆に、この部分さえクリアすれば、エンジンを自分で組み上げるということもハードルがずいぶんと下がるのではないかと考えます。

 

 

 

 

 

 

*1:カムスプロケの丸印が外になるようセットしてください。

*2:MD(=郵政カブ)のサービスマニュアルおよびパーツリストは、基本的にメンテナンスを受け持つ販売店にのみ配布が許されているものです。

水没して不動になったスクーターを修理してみた。

先日の西日本豪雨で、地元も被害を受けました。近所の道路のあちこちで冠水していたせいもあって、うちの店に下の画像のアドレスV50Gが修理依頼(=水没により走行不能)で入庫しました。

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うちの店に入庫してきたのが、7月8日。エンジンが始動できたのが10日でした。店に持ち込まれた当初はキックペダルが全く下りない状態でした。以下、始動に至るまでの作業をまとめました。

 

1.バッテリーのマイナスの結線を外す

不測の事態に至ることを防ぐため、まず電気を止めます。

2.マフラーを外す

もしかすると、フランジを緩めた段階でエンジンから水が出てくるかもしれません。マフラーは、エンジン側(=フランジ)を下にして、立てて乾かします。構造的には、逆さにして立てておくほうが水は抜けやすいということです。

3.エアクリーナーを外す

キックペダルが下りないこととは直接関係ないですが、点検はしておきます。案の定というべきか、水を吸ったエアクリーナーは、手で触るとネバネバとした糸を引きました。とりあえず洗油(=灯油)に付けて洗って乾かしておきます。

4.インジェクターを外す

エアクリーナーを外して、その次の経路ということと、シリンダー内の水を抜けやすくするために行います。(キャブレターだと構造的に厄介ですが)インジェクターの中自体に水は残ってませんでした。念のために、中にエアーを通して乾燥させておきます。コンプレッサーをお持ちでない方は、パソコンを掃除するエアー缶などで代用してください。

5.シリンダー内から水を抜く

まずエンジン内に溜まった水を抜かなければいけません。キックが下りないということで予想はしてましたが、スパークプラグは濡れていて、シリンダー内に水があることが分かります。オイルチェンジャーを使って、プラグホールとマニホールドから可能な限り水を抜きました。

 6.シリンダー内にエアーを通す

この後の工程でエンジンオイルを注入します。シリンダーとピストンの隙間で抵抗になっている水分をコンプレッサーのエアーで飛ばし、エンジンオイルがシリンダー内壁とピストンの隙間に浸透しやすいようにします。この作業も、先のエアー缶で代用できます。

7.キックスターターのケースを外して、エンジンオイルを注す

分解する前に、キックペダルと噛み合っている芯棒のスプラインの位置に油性ペンなどで印を付けておきます。キックペダルを外して、ケースも外して、中のギアにエンジンオイルを満遍なく塗布しておきます。水が残っている場合は、十分にエアで飛ばしてからオイルを塗布してください。オイルを塗布し終えたら、ケースを元に戻して、キックペダルを組み付けます。

8.エンジンオイルを入れ替える

エンジンオイルを抜くと、油と水が分離してユラユラと玉状のものが動いていました。抜いたままにしておくと、クランクのベアリングなどは、たちまち水分で錆びるので、すぐに新しいオイルに入れ替えます。

9.シリンダー内にエンジンオイルを注して、キックペダルを踏んでみる

プラグホールとマニホールドからエンジンオイルを注して、キックペダルを踏んでみます。これでキックペダルが下りればいいのですが、今回はガッチリ固まっていて、何度踏んでもダメでした。エンジンオイルを再度注して、この日は帰宅しました。一晩おくことでエンジンオイルが浸透してくれることを期待します。

10.ジェネレーターカバーを外して、クランキング。ようやくエンジン始動

翌朝の仕事開始時にキックペダルを踏んでみましたが、結果は昨日と変わりません。

ヘッドカバーは昨日の仕事終わりに外して帰宅したので、カムチェーンが露出しています。最後に残された方法を試してみることにしました。ジェネレーターカバーを外し、空冷ファン部分に両手をかけて、〝グッ〟と力を加えて回してみると、カムチェーンがゆっくり回り始めました。すると、排気ポート部分からボタボタと液体が滴り落ちてきます。途中で〝ゴリッ〟という圧縮の手応えがあり、これ以上、手で回すのは無理。ファンを外して、改めて工具をかけて回してみたところ、圧縮のところも乗り越え、ようやくクランキングすることができました。この日はこれで定時。オイル交換や車検にリコール処理など他の仕事もしながらなので、仕方がありません。

 

翌日。他の仕事を午前中に片付けて、午後から作業再開。シートとシート下のボックス以外の部品を仮に組み付け、バッテリーも弱っていたので交換。スパークプラグも新しくしました。まずは、セルで始動を確認。その後、キックでもエンジンをかけることが出来、入庫から3日目にして修理完了となりました。キックペダルを踏んでもあれだけ硬かったのに、いざ直ってみると、なんだか呆気ない感じがしますよね。

キックペダルが下りないという現象は、あくまでエンジン側の不具合で生じた結果の一つなので。終端のキックペダルから、一番遠い場所の張り付いたピストンを動かそうとしても、力が伝わりにくい。そこにばかりに拘っていても問題は解決しない。なんでもそうですが、一つの方法を試してダメであれば、次の方法を考える…ということですね。

そういう意味で、ジェネレーター側から直接的に力を加える(=手動によるクランキング)のは、原始的ですが有効な解決方法の一つではないかと考えます。もちろん、シリンダー内に塗布したエンジンオイルが、一晩置くことで十分に馴染んでくれたことも、良い結果に繋がった要因の一つです。エンジン載せ替えということになると、同年式の中古の車体が修理代金で購入出来たりします。お客さんの立場にしてみれば、天国と地獄ぐらいの差があるのでね。

 

 

 

消えたワッシャー

今の仕事に就く、ずっと前のこと。

 

玉虫色のゼファー750を新車で買って、しばらく走っているとフロントのディスクに引きずりができた。それも両側2枚とも。取り回しの際に微妙に擦れる音がするのも気になる。そろそろ慣らしも終わろうかという頃になっても、その引きずり跡は消えなかった。

決心してキャリパーを外すと、なぜかキャリパーボルト*1にワッシャーが一枚ずつ、計4枚噛ませてあった。オーナーならわかると思うが、たとえワッシャーが通してあったとしても、外からは見えない。取り外してみて初めてわかった。ディスクの引きずりは、そのワッシャーの厚みの分だけキャリパー本体がズレて偏りができた…そう考えるほうが自然だろう。

俺は、ワッシャーを一枚噛ませた状態でキャリパーをまた元に戻し、購入したバイク店へ連絡した。『フロントディスクにできた引きずり跡が消えない』と。ワッシャーが一枚噛んでいたことは伝えずに。

数日後。バイク店から『直った』との連絡があり、ゼファーが家に戻った。

『取り外して点検しましたが、全く問題ありませんこういうことは、よくあります。しばらく走っているうちに、この跡は消えていくと思います』

バイク店のメカニックが帰ってすぐ、俺はキャリパーを外して、例のキャリパーボルトを確認した。果たして、ワッシャーは4枚とも消えていた。あの部分に、純正部品としてのワッシャーなど存在しない。本来の姿に戻ったということだ。ディスクの引きずり跡は、バイク店が説明した通り、しばらくすると消えた。

後日。オイル交換で店を訪ねた際、あのワッシャーを事前に確認していたことを伝えた。予想はしていたが、メカニックの答えは『さあ…そんなものはなかったですね』というものだった。そもそも、あのワッシャー4枚が、どの段階で組まれたものか。カワサキの製造ラインで?それはまずないだろう。無い部品は組めない。あるとすれば、納車整備で組む際に入れた?いまだに謎だ。

 

 

 

*1:ブレーキキャリパーをフォークに固定するボルト。

フロート室のOリングを交換しただけでエンジン不動!?

ホンダのディオZX(2サイクル・AF35)の修理。

キャブのフロート室とキャブ本体の隙間から燃料が漏れていた。

バッテリーを充電し、エンジン始動はOK。

へたっていたフロート室のO(オー)リングを交換し、燃料の漏れは止まった。

キャブを組み付け後に再びセルを回したが、なぜかエンジンが始動しない。

『おかしいな。Oリングを交換しただけなのに。なぜだ?』

スパークプラグからは火花が出ていることも確認した。

キャブまで燃料も来ている。

『キャブをいじったことが原因なのは間違いない』

そこから紆余曲折、キャブレターを分解して念入りに点検しながら分解清掃。

やっと原因が判明した。

以下の図を見て頂きたい。

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ディオは、オートチョークからフロート室へ降りてきているパイプがキャブの燃料を赤い丸で囲んだ小さな穴から吸い込むことによりエンジン始動が可能となる。要するに、この真鍮で出来た小さな穴(=管?)が詰まると、エンジンの始動が出来ないということになる。結局のところ、エンジン不動の原因は、この小さな穴が詰まっていたことが原因だったことが分かった。だが疑問が一つ残る。

『でもOリング交換前はエンジン始動は出来ていたよね?』

そう、確かに出来ていた。理屈に合わない。

だが、これも不動の原因を調べている過程(=キャブのオーバーホール)で分かった。

エンジンが始動できていたのは、オートチョークのパイプが刺さっているフロート上部の大きな穴へ漏れ出た燃料が常時流れ込んだことによるものだった。

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本来燃料を吸い込むべき穴が塞がっていても、道理でエンジンがかかったわけだ。

ツイッターをご覧になっている方はご存知かと思うが)この車両に関しては、他にもハーネスの修理やら、途中でシートが開かなくなったりと…色々と勉強させてもらった。(以前にも言ったけど)いずれにしろ、キャブは完全分解しての洗浄が基本ということですね。

 

 

転職して一ヶ月が過ぎた。

水虫を治す特効薬を発明したらノーベル賞が獲れると、かつては言われたが、今は市販の薬を根気よく塗り続けていれば完治する。*1ただし、本当にそれが水虫だった場合だが。足が痒いからと言って、水虫とは限らない。病院へ行き、皮膚科で診察してもらい、医師から『これは水虫ですね』と言われて初めて『自分は水虫を患った』ということになる。皮膚に痒みを生じる水虫に似た症状を呈する病気は複数存在する。水虫でもないのに、水虫の薬を付けても治ることはない。逆に症状を悪化させるだけで、お金も時間も無駄にする。この場合のアドバイスをもう一度整理して言うと、『足の痒みが治まらないの?もし水虫だったら市販の塗り薬でも治るよ。こういう病気で通院は恥ずかしいというのもわかるけど、でも必ず一度は病院の皮膚科で診てもらってね。それで本当に水虫だったら、市販の薬を買って自分で治したらいいよ。ただし、症状が少し和らいだからといって途中でやめたらダメだよ。治るまで根気よく続けないと』ということになる。

〝風邪かな?と思ったら、◯◯◯(=商品名)〟

人間という生き物は、つくづく自分の都合のいいように物事を解釈するものだと思わされることがある。熱が出て咳が止まらないから『風邪を引いた』と単純に思い込む。病院で診察してもらって初めて『インフルに罹ってた!』と驚く人間が毎年のように後を絶たない。(CMという性質上、消費行動を喚起するのが第一の目的ということは理解できるが)そういう俺自身も、最近『アレは少しマズかったな』と思う発言をプライベートでやらかしてしまった。

 『二輪に限って言うと、ディスクブレーキよりもドラム(ブレーキ)のほうが、メンテナンスは簡単ですよ。だけど、性能は…』

もうそこからあとに俺が言おうとしたことを相手は聞いていなかった。おそらく、メンテナンスが簡単=総合的な性能がディスクよりも上という勘違いをさせてしまったに違いない。

macasakr.sakura.ne.jp

俺は髪を切ってもらいながら、その後も何度となく『あくまでメンテナンスに限った話ですよ。だけど…』と店主に説明を試みたのだが、『へえ、ドラムブレーキがねえ』と、彼は宙を見つめてそれきり耳を貸さなかった。ああいう場所の特徴として、何気なく迂闊に話したことが、(聞く側の勝手な解釈が付け加えられた上で)『(うちのお客さんで)専門に仕事されている方が言ってましたよ』と、不特定多数の人間に伝播される羽目になる。

例えば、カブなどのブレーキシューに関しては、シューとスプリングが最初から一体に組まれた部品が、純正や社外に関わらず供給されている。そのままの形でドラム内に組み込めば、(もちろん交換後のレバーやペダルの調整は必要だが)ブレーキ自体のオーバーホールは完了してしまう。対して、ディスクブレーキをオーバーホールする場合、消耗部品の交換だけでも、パッド・フリュード(ブレーキ液)・ピストン&ダストシールなどと多岐に渡る。これにマスターシリンダー部分が加われば、さらに交換する箇所は増える。これらの消耗部品の交換後、当然のごとく面倒な(?)エア抜き作業も控えている。

『そうかなあ?カブのリアのブレーキシュー交換だけど、ホイールを外す結構大掛かりな作業になるよね?あとでチェーン調整もやらなきゃダメじゃん。面倒じゃね?』

その通り。『メンテナンスが簡単』とは言っても、それは分解組立に習熟した者が完全オーバーホールをする場合に限った話だ。カブのフロントのブレーキシューの交換にしても、ホイールをフォークから一旦外さなくては、ブレーキシュー自体を取り出すことが出来ない。そして、あとで『メーターが動かない!』と慌てないよう、ハブの中にあるメーターギアがキチンと作動するように注意して元に戻さないといけない。(ブレーキシューとブレーキパッドの交換自体に限って作業のし易さを比べた場合は、ディスクブレーキに軍配が上がると個人的には考えるが、これも作業する者によっては一概に簡単な作業とは言えない部分があるかもしれない)

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仕事をする側として、バイクに対する経験も知識も各々違うお客さんを目の前にした場合、(バイクに不具合が出た際は特に)『どう話せば現状を正確に理解してもらえるか』は非常に重要なことだと言える。

 『ここ*2にいる限り、お前はお客さんからすればプロだぞ』

勤め始めて何日めかのある日、社長からそう言われた。わかってはいるつもりだったが、『そうだよな』と改めて思った。*3

 

 

 

*1:爪水虫などは内服薬を医師に処方してもらう必要があります。

*2:自分の勤務する店は認証工場の許可を受けています。

*3:店で行われる全ての作業後の点検は必ず有資格者である社長が行っています。