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バイクのカウル補修 ・俺的まとめ 〜 修復から塗装まで 〜

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 カウルが割れたそもそもの原因とは?

何度見ても心臓に悪い。これが事の始まり。パッと見で分からないぐらいの緩い傾斜した場所*1で、サイドスタンドが甘めにかかってたのが原因です。『ギア入れとけよ。このボケが』というご指摘、ごもっともです。このパターンだと、通常は貼り付けタイプのウィンカーに交換コースですね。

 

(1)破損したカウルの修復

f:id:ghost_pain:20160424003656j:plainウィンカーの取り付け部分が割れて、完全に外れています。このままではパーツ同士がフィットしにくいので、白丸で囲んだ部分の亀裂を削って広げます。

f:id:ghost_pain:20160424003856j:plain加工は最小限にとどめます。

f:id:ghost_pain:20160424004020j:plain側面を上から見た所です。だいたいツライチに収まりました。

f:id:ghost_pain:20160424004336j:plain割れたパーツの接着(溶着)は、プラリペアを使用します。まずカウルの裏側から作業します。車体に装着してしまえば見えなくなるし、見た目は二の次です。しっかりくっつけます。

f:id:ghost_pain:20160424005018j:plain次は表側にプラリペアを隙間なく充填します。プラリペアは、硬化後にかなり硬くなります。できるだけハミ出さないように注意して、切削する際になるべく余計な労力を使わないようにします。

f:id:ghost_pain:20160424005749j:plainプラリペア硬化後にウィンカーを仮装着。

f:id:ghost_pain:20160424005845j:plain前後左右、いろんな角度からウィンカーの取り付け具合をチェックします。よく確認して、OKならウィンカーを外します。

f:id:ghost_pain:20160424010536j:plainプラリペアを切削加工する前に、マスキングテープを貼って養生します。今さらですが、プラリペアを充填する段階で、ある程度の平滑な面を作っておくことをお勧めします。自分の場合は、ご覧のように失敗してしまいました。

f:id:ghost_pain:20160424010804j:plainこうなると、切削作業には電動ツールを使う以外に方法がありません。

f:id:ghost_pain:20160424012407j:plain切削途中の様子です。かなり硬いです。作業中にリューターが滑ってしまいました。

f:id:ghost_pain:20160424012709j:plainある程度までリューターで削れたら、

f:id:ghost_pain:20160606152700j:plain道具を金属ヤスリなどに持ち替えて、削り過ぎに注意しながら作業を続けます。

f:id:ghost_pain:20160424013620j:plainヤスリで削ったあとに、サンドペーパー(240番)で形を整えました。

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f:id:ghost_pain:20160424023025j:plainよく見ると、丸で囲んだ部分に亀裂があります。こうした亀裂は、車体装着後の航続距離が伸びるごとに段々と広がっていく危険性があります。ウィンカー装着後は見えないからと言って放置せずに修復しておくことにします。

f:id:ghost_pain:20160424030436j:plain亀裂は、リューターなどでV字に切り込みを入れて広げます。そして、できた溝にプラリペアを充填します。

 

プラリペアを傷(亀裂)に充填する手順】

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f:id:ghost_pain:20160424030955j:plainプラリペアが亀裂に十分に行き渡り、傷が埋まりました。 

 

(2)塗装下地を作る

f:id:ghost_pain:20160424031954j:plainサーフェーサー(以下、サフ)は、模型用を用意しました。補修箇所の塗膜をできるだけ薄く仕上げる目的で選びました。自動車補修用よりも、粒子がかなりきめ細かい です。

f:id:ghost_pain:20160424032437j:plain サフ吹き1回目。素人が一度で塗装下地を仕上げることはできません。

f:id:ghost_pain:20160424032644p:plain  サフ乾燥後に、薄付けパテ(ポリエステル)を凹んでいる箇所に埋め込みます。あとは、パテ埋め→研磨→サフ→研磨→パテ埋め……の作業を、なめらかな塗装下地になるまで根気よく繰り返すだけです。

f:id:ghost_pain:20160424033852j:plainパテ埋め後の研磨1回目。

f:id:ghost_pain:20160424034154j:plain研磨はサンドペーパーではなく、研磨スポンジがお勧めです。

f:id:ghost_pain:20160424034541j:plainサフ2回目。

f:id:ghost_pain:20160424034712j:plain面取りするのを忘れてました。

f:id:ghost_pain:20160424034935j:plain面取りと研磨→パテ埋め(3回目)を行います。

f:id:ghost_pain:20160424035031j:plainサフ3回目。

f:id:ghost_pain:20160424035138j:plainサフ(3回目)乾燥後にパテ埋め(4回目)を行い、硬化後に研磨しました。

f:id:ghost_pain:20160424035317j:plainサフ4回目。最終です。正直疲れました。

f:id:ghost_pain:20160424035438j:plain1回目に比べれば、かなり綺麗な下地ができたとおもいます。

f:id:ghost_pain:20160425004242j:plainサフが乾燥後に研磨します。この作業の仕上がり次第で塗装の出来不出来が決まります。サフと塗装の境目や段差が、指で触って分からないぐらい滑らかになるまで研磨して塗装下地の完成です。

 

(3)塗装

【おことわり】本記事において使用しているウレタン塗料は自動車鈑金補修用であり、本来は、スプレーガン(ノズル径1.0ミリ以上)で使用することが前提です。エアブラシのノズル径は、大きくても0.5ミリとスプレーガンの半分以下のサイズになります。メタリック系の塗料は金属粉が入っているため、エアブラシで使用すると特に詰まりやすいです。本記事を参考にしてエアブラシで補修塗装される場合は、あくまで自己責任の下で行っていただくようにお願い致します。

f:id:ghost_pain:20160425011200j:plain(手前味噌ながら)塗装準備として、コチラコチラの記事を参考に道具を用意します。

f:id:ghost_pain:20160425011426j:plain屋内で塗装する場合は、塗料の飛散防止や換気の対策も必要になります。(写真は模型用の塗装ブースですが、今回のようなカウルなどの大きな物を塗る場合は容量不足です)

【塗装手順】

1. 塗装面のゴミを取り除き、脱脂を念入りに行います。

2. クリア(ウレタン)2:シンナー8の割合で作った「ボカシ剤」を、模型用エアブラシ(口径0.5ミリ)のカップに投入。補修箇所よりも広めに吹き付ける。

3. ボカシ剤が乾かないうちに、塗料(シンナーで倍に希釈したもの)を補修箇所よりもやや広め(ボカシ剤塗装の範囲よりも内側)に吹き付ける。

f:id:ghost_pain:20160425010224j:plain結果は大失敗。エアブラシが詰まりを起こし、対象物(=カウル)に塗料垂れ(以下、タレ)が発生しました。エアブラシを分解洗浄する破目になりました。

【塗装失敗の原因】

ノズルの口径がそもそも0.5ミリと小さすぎる(通常、自動車板金補修用のウレタン塗料を塗る場合、口径が1.0ミリ以上のスプレーガンの使用が前提)

・塗料を漉し紙で漉さずにエアブラシのカップに投入、ゴミや攪拌しきれずに塊になった金属粉が詰まったため。

 以上のような原因のため、吹き付け塗装の最中、塗装面にゴミがやたらと付着し、トリガーを引いても塗料が思うように出ませんでした。

f:id:ghost_pain:20160427132809j:plainこのあとに懲りもせずにまた新規に投入したエアブラシで中塗りと上塗りまで行いました。

f:id:ghost_pain:20160427133634j:plainノズル径は前回詰まったものと同じ0.5ミリサイズですが、噴射パターンが大きく広がるタイプです。しかし、これでもスプレーガンに比べれば詰まりやすいことには変わりありません。やはり、最低でもノズル径が1.0ミリ以上のスプレーガンで塗ったほうが失敗は少ないとおもいます。

f:id:ghost_pain:20160427142933p:plainボカシ剤を施工したあと、純正色を5回ほど吹き付けました。失敗した箇所のカバーは上手くいったようです。

f:id:ghost_pain:20160427144044p:plain一晩乾燥させ、上塗り(クリア塗装)します。

f:id:ghost_pain:20160427144642p:plain上塗りのクリア層に異物が混入していると非常に目立ちます。念には念を入れて塗装前のゴミの除去に努めます。

f:id:ghost_pain:20160427145355j:plain噴射パターンが通常より広がるタイプとはいえ、エアブラシでクリア塗装を行うのは、やはり時間がかかりました。上塗りがやっと終わりました。

 

(4)磨き〜完成 

 

動画の説明にあるように、まず初めにクリア層に入ったゴミ(通称:ブツ)を処理します。

f:id:ghost_pain:20160605160156j:plainブツが除去できたら、塗装ミストなどにより全体的に“ゆず肌”になっている塗装面を平滑な面になるように磨いていきます。画像ではプロ御用達のトレカットという商品で研いでいます。普通のサンドペーパーでゆず肌を平滑に磨くことは難しいです。せっかく苦労して塗装したのですから、(値段は張りますが)プロ御用達の研磨材を使うことにしました。初めに1500番、次に2000番、最後に3000番で仕上げます。ツヤがあったクリア層が一時的に曇りますが、最後にコンパウンドとワックスで仕上げるので気にしません。

 

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f:id:ghost_pain:20160605161400j:plainトレカットで磨いたあとに、3Mの研磨スポンジ(ウルトラファイン)にソフト99の鏡面仕上げ用コンパウンドを付けて手磨きしました。*2 これでも十分と思いますが、最後に3Mのクリーナーワックスで仕上げます。

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f:id:ghost_pain:20160605161946j:plain仕上げの磨きはこれで完了です。(黒い部分は半ツヤ塗装なので、当然ながら磨きやワックスは掛けません)

 

『なんでバフがけ(機械磨き)しないのか?』という疑問ですけれども。

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 クルマ用のポリッシャーで試しに磨いてみたのですが、大きさから言って扱いにくく上手くいきませんでした。もう少し小さめのエアーツールタイプのポリッシャーを使用すれば良かったのかもしれません。

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今回は手磨きにて仕上げましたが、機械磨きで仕上げたカウル右側面と比べても遜色ありませんでした。(最終的に仕上がりを左右するのは、バフがけよりも、それ以前のブツの除去や、ゆず肌を整える前工程が重要と考えます)

 

 追記。

 

今回のエントリは、これまでの計11回にわたる修復と塗装の記事をまとめたものです。もう少し詳しい内容をお読みになりたい方は、純正アッパーカウルの補修と塗装でブログ内検索してもらうと出てきます。

 

本当は、太陽光下での塗装の仕上がりの状態を披露するつもりでした。しかし、今は梅雨の時季でもあり、晴れた日を選んで倉庫からバイクを外へ出す機会になかなか恵まれないというのが正直なところです。梅雨はいずれ明けますし、お見せできるのもそう遠くないと思うので、今回はご勘弁ください。

 

 

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*1:福井県山中の某所。

*2:この場合、3Mの研磨スポンジは新品ではなくて、できたら使い古したもののほうが作業はやりやすいです。