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純正アッパーカウルの補修と塗装(9)〜 前回失敗した塗装のリベンジ……果たして結果は? 〜

【おことわり】本記事において使用しているウレタン塗料は自動車鈑金補修用であり、本来は、スプレーガン(ノズル径1.0ミリ以上)で使用することが前提です。エアブラシのノズル径は、大きくても0.5ミリとスプレーガンの半分以下のサイズになります。メタリック系の塗料は金属粉が入っているため、エアブラシで使用すると特に詰まりやすいです。本記事を参考にしてエアブラシで補修塗装される場合は、あくまで自己責任の下で行っていただくようにお願い致します。

 

(今回の補修に関する一連の記録は、いずれまとめ記事にして新たにあげる予定です)

 

 前回の失敗塗装のやり直しです。

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今回のリベンジ(?)に際して新たに投入した道具(エアブラシ)です。ノズル径は(前回に目詰まりを起こしたエアブラシと同じ)0.5ミリです。本来はプラモデルなどの模型を塗るためのものです。

 

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今まで使っていた模型塗装用のエアブラシと何処が違うかというと、

 

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大きな面積を塗るために特化した仕様になっています。塗料を投入するカップも普通のものよりも若干大きめです。噴射口(=ノズルカバー)は、スプレーガンのように縦と横の噴射パターンを選ぶことができます。通常のエアブラシでの吹き付けよりも大きく楕円状に噴射パターンが広がります。(通常のエアブラシタイプのノズルカバーも別に付属していました)

 

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塗料を用意します。ボカシ剤*1と塗料を、それぞれきちんと計量して作ります。今回、ボカシ剤はクリア2:シンナー8の割合で混合しました。今回塗るのはメタリック系塗料になります。メタリック系塗料は、保管中に容器の底に金属粉が溜まっているので、硬化剤と混合する前に塗料をよく撹拌します。主剤の塗料と硬化剤の混合比率は、購入した塗料に付属の説明書に従います。自分が塗料を作る際は、ご覧のようにキッチンスケールを使っています。使用する塗料は、すべて自動車板金用のウレタン塗料(2液性)です。自分がエアブラシでウレタン塗料を吹く場合、通常はシンナーで倍に希釈して使用しています。

 

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前回の失敗を踏まえて、ご覧の「漉(こ)し紙」を用意しました。(というか、常備してあるのにも関わらず面倒くささから前回は使いませんでした。スンマセン)漉し紙は、施工前に塗料の塊やゴミを取り除く役目をするものです。塗料を販売している専門店で入手できます。

 

【漉し紙をエアブラシのカップにセットする手順】

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f:id:ghost_pain:20160426102818j:plain1. カップのフタを取る。

f:id:ghost_pain:20160426103317j:plain2. 適当な大きさにカットした漉し紙を押し込んで、その上から塗料を注ぎ入れる。

f:id:ghost_pain:20160426104436j:plain3. 漉し紙の端を外へ少し出してフタを閉める。セット完了。

 

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マスキングは、改めてきちんと貼り直しました。

 

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 塗装前に確認した倉庫内の湿度はこんな感じです。天気は晴れています。すべての準備が整ったので、塗装に入ります。

 

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前回失敗して塗料が垂れた箇所は、乾燥後にペーパーがけして段差を取っておきました。(自分なりのやり方ですが)塗装開始直前に、軽くシンナーで塗装面を拭いてゴミを取っておきます。(あまりやりすぎると、元の塗装自体を侵します)

 

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(スプレーガンで塗る場合も同じですが)エアブラシで塗る場合、いきなり塗装する対象物に向けて吹き付けることをせず、ご覧のように必ず事前に試し吹きを行います。また、吹き始めと吹き終わりは対象物からエアブラシの噴射口を必ず外します。塗料が対象物に垂れたり、いきなり大きな粒の塗料が噴き出すのを防ぐためです。

 

まずは、最初にボカシ剤を補修箇所よりも広めに吹き付けます。今回は、カウルの左側面全体に吹き付けました。ボカシ剤が乾かないうちに、用意した純正色を吹き付けます。

 

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塗料は出荷時に調色済(GSX750S2・純正色)です。それを前述のようにシンナーで倍に希釈し、5回ぐらい塗り重ねました。1度に厚く塗らず、塗り終わるごとに少し時間をおくようにして、塗料が垂れないように気をつけました。吹き付け前に塗料を漉した効果もあり、塗装面に大きなゴミが付着することもありませんでした。(この日は乾燥が思いのほか早くて作業が捗りました)

 

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ボカシ剤を塗装前に塗った効果はありました。画像では分かりにくいですが、画面向かって右側半分が新たに塗った場所です。元の塗装との境界は、上手くごまかせたほうだと思います。この上からクリア塗装を行いますので、さらに境目は分かりにくくなるものと思います。こうしたことができるのも、繊細な塗装が行えるエアブラシならではのことだと思います。(ノズル径のサイズが大きいスプレーガン*2では、ボカシ塗装を施工することは難しいです)

 

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面取り加工した穴の縁ですが、上手く塗料が乗ってくれて形になりました。(ノズル径や1回の吐き出し量の違いから)スプレーガンとエアブラシでは、同じメタリック系塗料をたとえ同じ気象条件や環境で吹き付けたとしても、全く同じ色に見えるように仕上げることは難しいかと思います。自分のように素人が作業するのであれば尚更です。

 

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純正色の塗装が終わりました。最低でも一晩以上は乾燥させます。

 

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乾燥が無事終わりました。上塗りのクリア塗装の準備をします。

 

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主剤のクリアと硬化剤を正確に計量して混合します。

 

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上塗りのクリアはたっぷり吹き付けるので、通常の塗装よりも多めに作ります。量が量ということと、仕上げの上塗りに混入物があると目立つということもあり、念を入れる意味で一度漉しておきます。

 

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念には念をということで、エアブラシのカップにも漉し紙をセットしてクリアを注ぎ入れます。 

 

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カップのフタは、外れない程度に閉めておきます。作業中は、何度も塗料を継ぎ足すことになるので、あまりきっちり閉めると効率が悪いからです。(漉し紙は基本的に入れっ放しです。フタを閉める際は紙の縁を少し外に出しておきます)

 

準備が整ったので、換気に気をつけて塗っていきます。

 

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この日の天気だと、もう少し塗料を希釈したほうがよかったかもしれません。調整加減が難しいです。エアブラシでクリアを塗る場合、スプレーガンほど塗料の垂れに気を使うことはないですが、絶対ではありませんので注意して作業します。

 

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重ね塗りは、1回の塗装ごとに適当な時間をおいて垂れないように半乾きさせつつ作業します。

 

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途中から数えていませんが、10回以上は重ね塗りしたと思います。ほぼ上塗りが終わりかけたころ、日が傾いて湿度が高くなったせいか、今回大活躍のエアブラシも吐き出した塗料が上手く霧にならないなど調子がいまひとつになりました。塗膜の厚さも十分と判断したので、一応これをもって上塗りの完成としました。心配していた元の塗装との境界も、肉眼ではほぼ分からなくなりました。(乾燥は2週間ぐらいを考えています。それから磨きをかけて完成です)

 

追記。

 

磨きをかけたカウルの塗装の仕上がりを動画で撮影したものを、最近*3になって動画でアップしました。よろしければ、ご覧ください。↓

 

youtu.be

 

 

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『今度塗るときはきちんとした環境を整えよう』と毎回のように思うのですが、結局いつもこんなことなんですよね……

 

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【おことわり】今回の記事は、プロの方から見れば作業環境からして素人のDIYの域を超えない内容になっています。より完璧な仕上がりを求めるならば、専門の業者さんに依頼されることをお勧めします。

 

ghost-pain.hatenablog.com

 

*1:ボカシ剤は、新たに塗る塗料と元の塗装面をなじませる役目をします。

*2:スプレーガンのノズル径は1.3ミリ。

*3:2017/10/06 に公開。