紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ

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大雪の日

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このあと、母屋から物干し場がある倉庫までを雪かきした。降り続く中の雪かきはなかなか進まず、倉庫の明かりを点けて日没後も続けるしかなかった。

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月曜の朝。前日にクルマは無理なことがわかっていた。膝下までの長靴を履いて家を出た。除雪車が通ったらしく、道路はどうにか歩くことができたが、路肩や歩道は自分の膝上まで雪が積もっていた。俺の身長が178センチだから、その膝上っていうと…まあまあの積雪量だった。

街の中心に出ると、ノーマルのタイヤでスタックして動けなくなってるやつ(アホ)や、歩行者を回避できない後輪駆動の外車(なんでこんな日にわざわざFRで出てくるかね?)とか、其処此処で面倒臭いことになっていた。どこかの会社の前では、ネクタイ締めたおっさんが、プラスティックのショベル持ってはしゃいでるとか…まあ、そんな感じだったわ。

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予定がふいになってしまい、家族分の食料やらを買い込んで、徒歩で帰宅。あとは、休む間も無く、玄関から表の道路までの雪かきだ。

『あいつも一人前やな』

雪で工場が休みになった(?)近所のオッサンがクルマで通りしなに、雪かきをする隣のオッサンに話しかけていた。オッサン二人が言う『あいつ』とは俺のことだ。俺は独り者で、所帯持ちのこのオッサンらとは普段の付き合いもない。田舎ではそんなものだよ。地域の集会なんかに参加すると、世間でいう適齢期をとうに過ぎた独身者は、あれやこれやと衆目の的になるだけだしな。

一人前の尺度って、そもそもなんだ?たった二メートル四方もない玄関周りの雪かきさえ、何時間やっても終わらないクソジジイに言われる筋合いもねえし。片方の男は、日役で草刈機もまともに使えねえときてる(ものの1分も振り回すことができねえなんて、ウルトラマン以下だぜ)。だらだらやってるのは、自分の嫁はんに「頑張った感」をアピールしたいんだろ?男ってのは、褒めてもらわなきゃダメな生き物らしい。

そのうちに、俺が道路近くまでクルマの通る道を開ける頃*1には、隣のオッサンも(軽口を叩いてる場合じゃねえとようやく気がついたらしく)黙々と雪かきに専念し始めた。(1間ほどの幅の玄関一つに朝から何時間かかってんだ?)

『よう降りましたなあ』

話し相手のなくなったクルマのオッサンが、門のあたりの雪を溝へ搔き落としてる俺に挨拶してきた。普段はこっちが頭を下げても、じっと顔見るだけで無視して通るようなやつが。『そうですなあ』なんて年相応の挨拶する気なんてさらさらねえし。(雪が降ったからって、子供みたいに高揚してんじゃねえよ)

『あー』

って、カラスが鳴くごとく気のない一言返して、また雪かきを始めたさ。下手に愛想よくして居座られても困るしな。よくいるんだよ。稲刈りの休憩中に挨拶してきたと思うと、俺とお袋にずっと話しかけてきて、全然腰を上げねえオバハンとか。こっちは少しでも体を休めたいし、次の段取りの相談とかもあるんだからな。本当に迷惑なんだよ。その点、同じ百姓の家のヒトは挨拶だけして通り過ぎてく。こっちは仕事をしてるんだからな。

 

さすがに、週に3回も同じ場所の雪かきは堪えたわ。こういうのが、雪国だと普通のことなんだとおもうと、俺はとても暮らせねえな。

 

 

 

*1:母屋から道路までは約15メートルぐらいの距離。軽トラが通れる幅で掘り進めて40分ぐらいかかった。