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紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ

最近は、まあまあ忙しいです。

世のなかで一番の社交辞令。

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「自販機で飲み物でも買うか 」とおもって、寄ろうとしたら、一足先にあんたが入って行った。機先を制された形になったんで、あんたが停めてる場所から少し離れて俺は自分のバイクを停めた。それから俺は、目の前のレストランにでも入って休憩するかと覗いたら、運悪く「準備中」の札が掛かってたんだ。

 

仕方なく、俺は、あんたが自販機から離れるまで待って、缶コーヒーを買った。俺が飲み終わったあとだったかな、あんたが話しかけてくる雰囲気だったので、すかさず「話しかけないでくれ」オーラを俺は放出して事なきを得た(笑)きょうは、いつも履いてるブーツの踵の内張が剥がれてしまって、膝下まであるプロテクター付きを代わりに履いてたからな。もしかしたら「ヤバイやつ?」とおもわれたかもな。

 

「なんでそこまで避ける?」と、あんたはおもうだろうな。

 

ちょっと前、某ダム湖の駐車場で、その日知り合った、あんたと同じメーカーの車種に乗ったやつとひとしきり歓談したことがあった。(値段も、そう変わらないんじゃないか?それ、新車で二百万円台前半ぐらいだろう?)問題は、最後にそいつが、俺の耳元に口を寄せてきて(俺だけに聞こえる音量でぼそっと)「何をどう言おうが、……*1が(バイクの中で)一番だろう?」という意味のことを囁いたことだ。*2 どういう心境で、そいつがそういうことを言ったのかはわからない。それまでこっちとしては楽しく話してもらってただけに、すごく残念だったよ。

 

それから、恐怖症ってわけでもないけどな、俺は、今日みたいに、ああいう場所で、同じ車種に乗ったやつに話しかけて来られると、(実際には、あんたは素振りを見せただけだったが)つい身構える癖がついてしまったんだ。ほとんど無意識にな。俺が「話しかけてくれるな」オーラを出していても、そこを乗り越えて相手が話しかけて来る場合は、もちろん大人の対応はするけどな。あれ以来、そんな感じなんだよ。(うちの近所にいる何人かは同じ車種に乗っているし)同じ車種に乗っている連中が、全てああいう考えだとはおもわねえし、あんたもそうだと言ってるわけじゃない。だけど、自分のステイタスを確認するために他人を傷つける人間は現にいるからな。

 

もし、自分のバイクを褒めてもらいたいなら、オーナーズクラブにでも入りゃいい。

 

あんたが俺のバイクに興味がないのと同じに…いや、そうじゃないな。それ以上に、俺はあんたのバイクに興味がひと欠片もないんだよ。悪いな。興味がないのは、何もあんたのバイクだけじゃなくて、俺が乗ってるバイク以外は、他人が乗ってるバイクに正直興味がないんだよ。俺は、この世のなかで一番の社交辞令は、バイク乗りが他人のバイクを褒めることだとおもってるし。どんなバイクでも、そのとき自分が乗ってるバイクがこの世で一番だと俺は本気でおもってるから。その辺が、たぶん、俺とあんたが根本的にちがうところなんだろうよ。だからこそ、俺は他人が好きで乗ってるバイクを(あのダム湖で遭った、あんたのお仲間のように)貶めるようなことは言うまい、とおもってる。

 

カタナ乗りにもたまにいるけどな。「どこそこのブランドのパーツに何万使った」とかいう手合いが。そういうとき、こんな俺でも表面上はにこにこ愛想笑いしながら話は聞いてるが、腹ん中では「そんなもん、付いてるパーツ見れば、同じ車種乗ってるやつは皆知ってるわい!」と、おもってるし。口に出しては絶対言わねえけど。

 

俺の見た目も関係してるのかな。ああいうこと言ってくるやつは、皆共通して、俺のことを年下だとおもってることが多いみたいだな。でもな、あのダム湖で会ったやつや、掛かったパーツ代を自慢してくるような連中にしても、実際は、俺よりも年齢がひと回り以上も下だったり、いってても同年代ぐらいなんだよな。話してて「ああ…こいつは俺のこと自分より年下だとおもってるな」とおもったときは、頃合いを見計らって、自分の年齢をそれとなく匂わすんだよ、俺。すると、それまで饒舌だった相手が、ピタッと喋らなくなったりしてな(笑)俺も毎回そういうことやる訳じゃなくて、よっぽどカチンときたときぐらいにしかやらないけどな。

 

 

 

*1:自分の乗る車種。

*2:実際には、もう少しどぎつい言い方をされました。これでも、表現を少し柔らかくしたつもりです。