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中古キャブレターの選び方(2)

以前にコチラで中古キャブレターの選び方を書かせてもらいました。今回は、自分が中古キャブを通販サイトで入手する場合を例に取り、主に商品説明を読み解いて中古パーツ購入の判断をする場合の話を書きたいと思います。

オークションなどを含む通販サイトで、キャブを始めとした中古パーツを入手する場合、サムネと商品説明が購入をするか否かの大きな判断材料になります。逆に言うと、購入するか否かの判断材料は、ほぼこの2つしかないんですね。*1

 以下、実際の説明文を例に取って自分なりに解説していくわけですが、画像や車種名はもちろんのこと、どこの通販サイトかも、ここで言うことは控えさせて頂きます。あくまで、商品説明を読み解くのが今回の趣旨ですので、ご了承ください。それでは始めます。

 

“外見くすみ感ありますが、割れや取付破損なくまだまだ使えそうです。フロート内部の程度も良さそうでメンテで充分使えそうですよ。ダイヤフラム動作も良好でしたのでしっかりレストアされる方のベースにどうぞ。”

一見して、 当たり障りのない商品説明です。しかし、中古キャブの説明に付きものの、「固着」という言葉がどこにも見当たりません。「〜できそう」という表現が3回出てきます。断言を避けている点が引っかかります。「しっかりレストアされる方」限定ということは、少なからず固着した部分を抱えていることが予想されます。購入は差し控えた方が良さそうです。ちなみに、画像では、キャブの外観全体に点状のアルミサビの粉が吹き、フロート室の底に古い燃料の痕がありました。

 “内部洗浄などのメンテナンスが必要です。外観にサビもあります。”

 説明文が短すぎますね。この時点で購入はしない方がいいでしょう。ちなみに、画像はアップが少ない上に、内部を見せる画像は一切ありませんでした。アップが少ないのは、アルミサビがかなり酷いものと思われます。

“フロートチャンバーにガソリンの腐食がありますので、洗浄などで仕上げてご活用ください。可動部に固着は見られませんでしたので、損傷や酷い腐食でお困りの方はレストア用として是非!”

 「可動部に固着は見られません」と断言しています。かなりポイントが高いです。画像でガソリンの腐食をはっきり見せた上で、説明文に書いていることも好感が持てます。外観は年式相応の汚れはありますが、サビもないので、購入して損はないかもしれません。万が一にも固着があった場合は、商品説明を言質とすればよいでしょう。

“上の画像の実働車より取り外したパーツになります。” 

 これに勝る言葉はないというのが正直なところですかね。駄目押しで画像も多めですが、外観内部とも綺麗な状態です。ただ、こういう商品がオークションサイトで出品されている場合、最終的な落札額が高額になりがちです。どうしても確実に入手したいという方で、あまりメンテナンスが得意でない方向け限定ですね。

“ややサビ多く、チョークの動きが少し渋いです。スロットルバタフライや可変ベンチュリーの作動は正常でした。チャンバー内も汚れありません。(中略)フロートチャンバー1ヶ所に折れがあります。ダイアフラムカバーボルトに1本折れ込みがあり、ジャンク出品になります。”

 一般ユーザーからすると、少し専門的に詳しく解説してあります。(省略しましたが、一部計測データなども掲載していました)良心的な業者だと思います。ただ一点気になると言えば「チョークの動きが少し渋い」という表現かな。*2 この「少し」というのを、買い手がどういう受け止め方をするかですね。メンテナンスをあまりやったことがない人間にとっては、購入後の分解整備する過程などで、もしかするとかなり苦労するかもしれません。分解整備に習熟したヒトなら、購入しても良いかもしれません。

 

余談ですが、以前、中古ホイールを某オークションサイトで購入し、用品店でタイヤをいざ嵌めてもらおうとすると『歪みが酷いのでこのままタイヤを嵌めて使用することはお勧めしない』と言われました。中古ホイールの商品説明を改めてよく読み返してみると「若干の歪みがあります」とありました。前述の「少し」という表現とも関連するのですが、通販で中古パーツを購入する場合、商品説明をきちんと読み解くことが如何に重要かお分かり頂けると思います。*3

 

 

 

ghost-pain.hatenablog.com

 

 

*1:オークションサイトによっては、出品者に質問できるようになっているところもあります。

*2:チョーク=スタータープランジャー。

*3:四輪と違い、二輪のフロントホイールに歪みがある場合、重大な事故を引き起こす原因ともなりますので、注意が必要です。