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キャブレター考(2)

キャブレターピッチの情報は鵜呑みにせず自ら確認

 

現在、カタナに装着しているキャブレターはCVK36*1です。純正*2と K社純正キャブレターピッチの比較は以下のようになります。

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注釈にも書いた通り、自分の実測による数値です。GPZ900R・ゼファー1100・ZRX *3系ピッチの「75-86-75」ですが、「77-85-77」と記されている資料もあります。

http://www.yoshimura-jp.com/products/engine/carb-service.php

 

youtu.be

 

ポン付けできると言われている1100Sキャブレターだが

 

 コチラでも書きましたが、これまで自分が750S2で試したキャブレターは、GPZ900R・ゼファー1100・ZRX1100(ZRX1200R等含む)・GSX1100S カタナの純正採用のものとなりますが、ほぼポン付けと言えるのは、自分が確認したところ、1100Sに純正採用のBS34 *4のみでした。

 

“ほぼポン付け”という表現をしたのは、1100Sと750S両者のインシュレーターを並べて、それぞれのサイズを比較すれば、その理由は一目瞭然でお分かり頂けるとおもいます。

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http://ghost-pain.hatenablog.com/entry/2015/04/28/231421

 

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(注)品番(部品番号)に関しては、発注前にパーツリストなどでもう一度よく確認してください。

 

750S用のインシュレーターに関しては、現在、左側は廃盤になり、右側のみで四気筒共通になっているようです。当然、インシュレーターのサイズが違えば、それを留めるバンド(クランプ)のサイズも違います。

 

キャブピッチを合わせても残る問題 

 

以上の説明からお分かりになるように、キャブレターの流用とひと口に言っても、クリアしなくてはならない面倒なことが多少なりとも出て来ます。その最たるものが、キャブレターピッチの問題です。装着している CVK36 は、もちろん、750S2 のキャブピッチに合わせるためにステーなどの加工をして取り付けています。

 

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キャブピッチの誤差が、1〜2ミリで、例えばカタナや他のスズキの空冷車のように、インシュレーターの形状が湾曲しているものであれば、ずらすなど調整でもって 誤差をある程度解消できます。しかし、古いZ系のように、インシュレーターがストレート形状となると、たとえ1〜2ミリのわずかな誤差でも、微調整でもって解消することはできません。取り付けには、シビアな加工精度が要求されます。750S に、CVK36(もしくは CVK34) を取り付ける場合、自分は2・3番間のみピッチを拡げ、両端の1・2番間と3・4番間は、インシュレーターの調整でその取り付けの際に生じる誤差を解消しています。

 

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(注)黒い部分がインシュレーターの筒部分。本来は破線の一番上部分まできっちり嵌め込むことができる。しかし、750SのインシュレーターとCVK36を組み合わせた場合は、エア(2次空気)を噛むことなく固定はできるものの、図のようにわずかに隙間ができる。

 

また、750Sは、ケイヒン製のCVK36キャブレターを750S 純正のインシュレーターに差し込むと、2次空気を吸うことなく固定はできますが、上の図のようにインシュレーター内側にわずかな隙間ができます。実際の使用には、今のところ問題はないですが、メンテナンスで過度に締め付けることを繰り返したり、経年劣化などの理由で将来的に不具合を起こすことがあるかもしれません。

 

これから、本格的にオフシーズンに突入していく中で、中古車両の売値が下げられるのと同様に、中古パーツも値下げされたりします。キャブレターも消耗品とある程度割り切っている自分としては、750S純正キャブはもちろんのこと、キャブピッチが共通の油冷車搭載のものも、時間があればネットなどでチェックしています。(実は、つい最近もGSX-Rの純正キャブを一台入手しました)

 

未確認情報として、高年式のバンディット1200(GSF1200・1200S)系純正キャブのキャブピッチは、油冷共通の「77-93-77」ではなく、「82-86-82」だという情報もあり、入手する際には、十分な確認が必要と思われます。未確認情報なので、なんとも言えませんが、もしかすると同じバンディットでも水冷以後の1250ccに搭載のものと混同されているのかもしれません。

 

 

ghost-pain.hatenablog.com

*1:ケイヒン製キャブレター。K社大型車両などに純正採用。

*2:ミクニ・BS32SS。

*3:ZRX1100・1200Rなど。

*4:ミクニ製。