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古物商許可証 (個人) を独力で取得する方法について説明してみます。

今秋の某日。

 

『◯◯さんとかいうとこから電話あったよ』

 留守中に俺宛に某通販サイトから電話があったと、母から言われ、

 『なんだろうな?……最近あそこで買い物はしてないし……』

 おかしいとは思いながらも、(家の仕事も忙しい時期だったので)そのまま放置していました。

 

 そんなことも忘れていた先週の金曜。

 

見慣れない番号から自分の携帯に着信がありました。通常であれば折り返しの電話はしないのですが、その日は荷物が届く予定だったので、

 『配送会社のドライバーからかな?』

 と 履歴から連絡しました。

 『はい。こちらは◯◯……あ、◯◯様でございますか?ご連絡ありがとうございます』

 電話は、先日の留守中に電話があった某通販サイトでした。

 『あのう……どういったご用件なのでしょう?概略お教え頂けますか?』

 俺が説明を求めると、担当の女性は丁寧に質問に答えてくれました。

 

某通販サイトでは、地域担当ごとに新規出店者を定期的に探しているとのことで、今回は兵庫県からの出店者を求めている中で、自分にお声がけしていただいた……簡単に説明すると、そういうことでした。もちろん、某通販サイト側も、当てずっぽうに選んだ人間に声をかけているわけではありません。

俺は、違う通販サイトで業者登録をしていて、連絡先を掲載しています。*1

 

古物商の許可を申請するきっかけ 

 

俺が、某通販サイトで、細々ながら中古の書籍等の販売などを始めてからしばらく経ったある日、

 “営利目的で物品を販売する場合には古物商の許可が要る

 ということを、たまたまネットで目にしました。

 “……今のままでは面倒なことになりそうだな……”

 そう思って、いろいろ調べたところ、古物商の許可は警察の管轄だということがわかりました。

 “業者に頼むと安くても倍はふんだくられるのか……これは自分で取った方がいいな”

 申請に必要な費用のことも調べましたが、公安委員会に収める手数料に加えて、行政書士に頼むと、高額な費用*2になるため、独力で古物商許可証を取得することにしました。それが、ちょうど2年前の秋のことでした。家の仕事が一段落ついた頃、まずは地元警察へ電話を入れて聞いてみることにしました。

 

まずは警察で話を聞く

 

『はい、◯◯警察です』

『古物の担当の方をお願いできますか?』

 生活安全課の担当の方が出られて、県警のHPで必要書類を入手する方法などを説明してくれました。

 『(不明なことなど)警察へ来られる場合は事前に私宛に連絡してください』

 電話をする前は緊張していましたが、終始丁寧に対応してもらい、電話を切りました。

まずは、必要書類を揃えなければいけません。

 

必要書類入手の実際

 

以下が、俺が古物商許可(個人)の申請において揃えた書類です。入手方法や経緯などを説明してみます。

 

1. 住民票

(母に買い物のついでに頼んで)市役所(支所)で入手。

 

2. 身分証明書

耳にすることはあるものの、どこで入手するのかわからない書類です。市役所の戸籍課で発行してくれます。(本所支所に関わらず、簡単に入手出来る住民票と違い)平成の市町村合併後は、戸籍課が少し遠くなったことや、諸々のことから、郵送で取り寄せることにしました。(ああいう場所で待たされるのが厭なんですよね)

 

申請書類だけ母に取りに行ってもらい、必要事項を記入。申請理由の欄には「警察に提出」と書いておきました。本人のみ申請可ということですので、本人確認書類として免許証をコピーします。うちの市では手数料が200円ですので、その分の定額小為替を用意します。*3 以上の必要書類や定額小為替、返信用切手を貼った封筒をまとめて同封し、あとはポストへ投函。

 

申請理由が効いたのか、投函の日を入れて二日ほどで身分証明書が届きました。

 

3. 登記されていないことの証明書

これも聞きなれないというか、今回のことがなければ、一生目にすることがなかったと思います。これの入手に関しては、少々厄介です

 

証明書の発行手続きは,東京法務局後見登録課, 全国の法務局・地方法務局(本局)の 戸籍課の窓口で行っております。したがいまして,申請にあたりましては,お手数をおかけしますが,直接窓口にお越しいただくか,東京法務局後見登録課 あて郵送で申請していただくことになります。

 

登記されていないことの証明書の申請方法:東京法務局

 

リンクにある「全国の法務局・地方法務局(本局)」には、うちから一番近い本局として神戸地方法務局が挙げてありますが、往復の交通費などを考えたり、待ち時間などのことを考えると面倒です。(本当にああいう場所で待つのは苦痛です)

 

考えた末、自分の場合は、郵送で東京法務局から取り寄せました。申請書類の書き方などは、コチラで詳しく説明してあります。郵送から手元に届くまで約1週間~10日程度ということでしたが、自分の場合は一週間かからずに入手できました。*4

 

2. と 3. の書類ですが、要は、後見人が必要な状態の人物*5か否かの確認をする目的で提出を求めているものです。そういう人間が、通常、古物の許可申請などをするわけはないのですが、こうした証明書を提出する必要があるようです。

 

4. 略歴書

簡単に言うと履歴書のようなものです。生活安全課からは、

 『5年前から現在に至る経歴を記入してください』

 と言われました。

 

コチラの県警のHPからPDFを入手して印刷しようと探しましたが、なぜか略歴書だけありません。代わりに、コチラの警視庁のHPから略歴書のPDFを入手、“東京都公安員会殿”のところを、“兵庫県公安委員会殿”に書き換えて必要事項を書き込み提出しました。

 『これ(書式)って、うち(県警HP)になかったでしょ?』

 提出の際に(書類作成の際の事情を聞かれて)担当の方から妙に感心されました。

 

 なんでもない書類ですが、警察が提出を求めるものですので、言わずもがな、過去に(窃盗などの)犯罪歴がないかなど確認する意味合いもあります。

 

『これって、前の職場に問い合わせしたりしますよね?』

書類提出時に不安に思い、俺が訊くと、担当の方は

『大丈夫です。そこら辺は上手くやりますから』

と言われました。

 

警察がどういうテクニックを使うかはさておいて、こういう時に、自分の今までの来し方みたいなことが重要になってくることは確かだと思います。

 

5. 誓約書

 これに関しては、コチラの県警のHPからPDFを入手して、必要事項を記入して提出しました。*6 ちなみにコチラの警視庁のHPで公開している書式も(公安委員会の名称が違うだけで)同じものです。

 

6. 建物登記簿

 自分の場合は、自宅での営業ということになります。もう少し詳しく言うと、父の名義の家での営業許可を申請する形になります。父との続柄を証明することは難しくないですが、父の持ち家かどうかを証明する必要があります。

実を言うと、今回の申請において、この証明が一番難関でした。

以下は、書類の申請が警察で受理された日の、自分の日記の抜粋です。

 

午後。
古物許可申請。
書類受理。
証紙19,000円
担当:生活安全課 ◯◯

法務局。
先の警察で、任意提出書類として、建物登記簿の写し必要のため。
建物登記の名義が曾祖父になっていることが判明。
古い家の滅失届けが未提出によるもの。
土地登記簿の写しを取る。
自宅土地の所有権は父の名義になっていて、ほっと胸を撫で下ろす。

 

警察は任意提出書類と言うものの、実際には強制です。

 

この“滅失届け”とあるのは、古い家を取り壊した際に提出するものです。うちの場合は、これが提出されていないとのことで、家の名義が曽祖父の名義のままでした。

今回調べてみて驚いたのは、今の実家がある場所で過去2回の建て替えが行われたにも関わらず、一度も滅失届けが出されておらず曽祖父の名義だという家も、今の家ではなく、最初に建てた家のことだということが判明しました。滅失届けが出されていないことにも困惑しましたが、今住んでいる建物の登記もされていないことには、本当に驚きました。家が新築されたのは何十年もである上に、現在、父は介護が必要な状態ですので、当時の事情を聞くこともできません。それに加え、過去に取り壊した家の滅失届けはもちろん、建物登記の届けは、今から法務局へ申請するにしても、何ヶ月もかかることがわかりました。

 

(家がある場所の)土地登記は父の名義になっていて安心する一方、警察に父の家であることを証明する問題は依然として残ります。法務局から戻って頭を巡らすうち、固定資産課税台帳のことをふと思い出しました。

 

あれなら、父が家の税金を払っていることが証明できる

 

家の税金を払っている人間=家の持ち主、ということで、これで警察にも説明ができ、あとは審査を待つだけです。*7

 

 

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申請からほぼひと月足らずで、古物商許可証を受け取ることができました。

 

 法律の規定による材質とサイズおよび看板を掲げるなどのことは、コチラで以前に書いている通りです。

 

ちなみに、看板には「書籍商」と掲げてありますが、宝石と美術品以外のすべての古物を取り扱う許可を自分は受けております。(もうバラしてもいいでしょう)

今のところ、クルマやバイクなどの大物を扱う予定はありませんが、

ナビは(車載だから)クルマを扱う許可が要ります

などという警察からの指導もあり、取り扱い品目を最終的に決定した次第です。

 

あくまで、自分の環境(個人)で申請した場合を説明させてもらったので、すべてのケースに当てはまるわけではないことを、お断りしておきます。

自分の場合は実家で営業ということで、割合にすんなり話を進めることができましたが、賃貸の建物や土地での営業となれば、貸主との十分な話し合いをした上でないと、許可が下りたあとも(扱う品目や美観のことなどで)トラブルになることもあります。

 

 

 

古物商許可申請:警視庁

兵庫県警察−申請様式等一覧

 

ghost-pain.hatenablog.com

 

*1:俺が業者登録している通販サイトと、声かけしてもらった会社とは競合しているライバル同士として一般的には知られています。

*2:一概には言えませんが、当時調べたところでは、平均40,000円ぐらいでした。ちなみに、そのうち公安委員会へ払う費用(証紙)が19,000円です。

*3:定額小為替の郵便局での発行自体に手数料が発生します。

*4:自分の住まいは兵庫県です。

*5:(例)認知症など。

*6:自分の場合は、この誓約書とは別に、許可証受け取りの際に警察署の誓約書にサインと捺印をして提出しました。

*7:必要書類には挙げていませんが、営業を行う場所周辺の道路と建物の関係の簡単な見取り図の提出もありました。自分の場合は、見取り図と家周辺のストリートビューの画像を併せて、警察へ提出しました。