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紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ

最近は、まあまあ忙しいです。

自分はこんなところにいる人間ではない、という思い。

ずいぶん昔の、俺が生まれるよりも前の、ある年の暮れのこと。

 

母方の祖母がうちにきて『(暮れも)いよいよ押し迫ってきましたな』と、祖母に呼びかけた。母方の祖母にすれば、何気ない、暮れの挨拶のつもりだった。すると、祖母は、『年が変わるだけですがな!』と、不機嫌な態度を露わにしたという。

農家に嫁に来たとはいえ、若いころは京都で女中仕事に就いていた祖母は気位が高かった。母が嫁に来てからは、百姓仕事はもちろん、家事なども一切やることはなく、常に着物で過ごし、終日、家の中で針仕事をしているようなヒトだった。

関西弁でいうところの、いわゆる、“へんこ”と呼ばれるような類の人間*1だった。

 

『自分はこんな田舎にいる人間ではない』

 

祖母と話したことはないが、もしかしたら、そう思って毎日を過ごしていたのかもしれない。もしそうであれば、祖母の願いは、ついにはかなわなかったが。

 

 

昨年倒れて、自分の体の状態が正確に把握できたとき、消灯後の病院のベッドで涙した。それは、自分が死ぬことになるかもしれない恐怖に対してではなく、母を残して死ぬことになるかもしれない恐怖に対してだった。自分がいなくなった家で、母がひとりで父の世話をする姿を想像すると、涙が止め処無く溢れた。

 

あんなに厭だったのにな。家。

 

置かれた場所で咲きなさい、か。いまもって、そんな諦観のような境地に至ることはない。自分にも、祖母の血が流れている。これから先もおそらく無理だろうな。

 

 

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*1:漢字だと、“偏固”と書くようだ。一般的には、“偏屈”だろう。